"読書"の記事一覧

厄除け詩集 3 サヨナラだけが人生だ

(承前)  中原中也が故郷で落第したその年、県立青森中学校に入学した太宰治(1909~1948)は学業優秀な生徒で、昭和二年には旧制弘前高等学校に入りますが、中学時代に井伏鱒二の『幽閉』(「山椒魚」の原型)を読んで感動し、早くから小説家になることを切望していました。  1927年には同人誌『細胞文芸』に自作品を発表、更に翌28年には…

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厄除け詩集 2 京都での交遊

(承前 読みたい本がありますか)  中原中也より六歳年上の詩人・富永太郎(1901~1925)は、東京府立第一中学校から旧制第二高等学校(仙台)に進み理系の道を模索していましたが、外国文学・哲学などへ関心が移ると共に科学そのものへの情熱が次第に失われ、遂には進級に必要な単位を取れず落第してしまいます。また、その頃からフランス語を学び象…

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厄除け詩集 1 熱血先生と詩

(春は新学期の季節、新たな出会いもあります)  井伏鱒二(1898~1993)という小説家を知ったのは二度目の高校一年生の頃で、はっきりとは覚えていないのだが、現代国語と漢文の二科目を担当されていたK先生の授業で中原中也の詩や小林秀雄の評論文などを教わっていた時期だった様に思う。まだ二十代で熱血教師の気質が十分であった先生は、時に教科…

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