ゆてきかへらぬ ━京都━ 2024年06月12日 ゆきてかへらぬ 京都 下宿 センベイ 思い出 人の思い出も変質するものなのだろうか。人は、自分の思い出も潤色するのだろうか。 中原中也は、今からざっと百年ほど前の大正時代に、故郷の山口から京都に移り住んだ。十代の半ば過ぎの頃だ。彼は、その後、東京に出て文芸の世界で生きて行くのだが、昭和十一年の冬『ゆきてかへらぬ』を『四季』に発表している。その作品の半ばには、 さてわが親… 続きを読むread more
思い出す未刊の詩篇 2024年05月19日 ノート1924 中原中也 長谷川泰子 富永太郎 未刊詩篇 何かの拍子に、中原中也の作品の一節が思い出されることがある。年寄りにとって「未来」は「彼岸」とほぼ同意義だから、中也が「在りし日」と呼んだ過去の残像を追いかけるしかない、のかもしれまい。 ツツケンドンに 女は言ひつぱなして出ていつた (中略) 対象の知れぬ寂しみ 神様はつまらぬもののみをつくつた 「ノート1924」の中に… 続きを読むread more
誕生日 2024年04月29日 誕生日 天皇誕生日 富永太郎 奇跡の子 四月二十九日は詩人・中原中也の誕生日である。彼は、明治四十年の今日、山口県の湯田温泉という所で生まれた。西暦1907年のこと。両親が結婚して7年目、そして中原家では45年ぶりの男子出生だった。お祝いの宴は三日に及び、養祖父・政熊は「奇跡の子」と呼んだ。 この日は勿論、昭和天皇の生まれた日(1901)なのだが、同じ日に生まれた著名人の一… 続きを読むread more