水色の桜の夢
町中を何気なく歩いている時、妙な木を見つけた。
周囲には建物も無く、ただ一本の樹木がスポットライトを浴びて立っている。
一見して、それはサクラの木だと分かったのだが、その色が変わっていた。
黄緑がかった水色とでも言えば良いのか、ともかく普通の樹ではない。
その証拠に拳大の花弁の中のオシベ・メシベも剣山のようにそそり立ち、
人の爪先ほどもある一粒一粒が水色に輝いていた。「私」は、この珍奇な
物体を記録しなければと思い、一旦、家にカメラを取りに戻った。
家人が渡してくれたバッグはやけに重かったが、中にあった二台のうち
使い慣れた一眼レフを持ち出し、写真屋に向かおうとした時、
何故か田舎に住んでいるはずの従兄弟の一人が現われ、
『もう、フィルムは入れてある』と言う。それでも「私」は高感度ではなく
逆に低感度のフィルムで、長時間露出させて撮るべきだと思い、
再び、写真屋を探しに出かけたのだが、案の定、そこで夢は終わり
先ほどの桜に二度とまみえる事は無かった。
これは夢の約束事のようなもので、何かを途中で止めてから、
一旦仕切り直して戻ることは出来ない仕組みになっているらしい。
用意周到な人でないと、良い夢は見られない。
楽しく歴史や文学に親しみましょう

この記事へのコメント