間違いだらけの夢
会社勤めを始める前からの古い知り合いの一人と外出するため、
最寄りの駅まで出向いたのだが、改札を通る際「私」は何を思ったのか、
行先とは反対のホーム、しかも引き込み線専用のような、暗い、
トンネル内の狭くて天井の低い通路に入り込んでしまった。
流石に、直ぐ気づいて出ようとしたが出口がどこにも見当たらない。
当惑している「私」、そこへ如何にも迷惑気な表情の駅員と思われる人が現われて、
かまぼこ型をした金属製で鈍い銀色の防音壁の一部をこじ開けてくれた。
そして彼が、
線路の向こう側にあるオルガンの形をした設備の前まで行き、
そこで列車を待つように
と教えてくれた。暫くすると、本当に大型の急行?、特急列車が静かに到着し、
「私」の真ん前のドアだけが大きく開き、乗車することが出来た。
知り合いはどうしただろう、次の駅で降りて探すべきかどうか迷っている内に、
列車は駅のホームに滑り込んだ。そして「私」は目的地までの切符すら
買っていないことに気づき、券売所を探すのだが見つからない。
駅には駅員も知人の姿もなく「私」は為すすべもなかった。
まるで自分の人生そのものじゃないか。
そんな声が、どこかから聞こえる様な気がした。
楽しく歴史や文学に親しみましょう

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