ピンの話 3 おまけの大喜利
(承前 かつて子供向け雑誌の正月号にはカルタの付録が付いていました)
夜の八時、TVの公開番組が始まる。
まだカーテンが降りており、舞台の向かって右手袖から、自転車に乗り、
警察官のコスチュームを身に着けたザ・ドリフターズの加藤茶がゆっくり姿を現す。
口ずさんでいる曲はど演歌『女のみち』だ。
この楽曲が四百万枚以上も売れる大ヒットしたのは昭和四十七年つまり1972年で、
歌ったのはぴんからトリオの宮史郎(1943~2012)だった。
彼らの芸名は、
ピンから=初めから トリを=最終演者を目指す
と言う意味から付けられたと言われるが、この「トリ」も舞台演芸の業界語の一つ。
「ピン・キリ」に関して、もう一つ良く耳にするのが「大喜利」だが、
これは元々、上方歌舞伎の世界では狂言興行の構成を、
1 前狂言 2 中狂言 3 次狂言 4 切狂言
といった順序建てで行っており、最後の舞台を「切 きり」と呼んでいた。
つまり「最後」が「きり」なので、
きりがない きりがよい
などといった言葉使いがうまれたようだ。そして本来、寄席などの興行で、
最後の演者が「とり」を取った後、お客の為に「おまけ」の企画として演じられたのが
「大切・おおぎり」で、縁起を担いで「大喜利」と書くようになったのだとか。
(続く)
楽しく歴史や文学に親しみましょう
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