港から山に登る夢

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初め「私」は暗い、夜の波止場に居た。照明は何一つなく、海は静かだった。
船なのか、それとも人なのか、或いは荷物でも届くのか「私」はずっと待ち続けていたが、
誰も来ず夜も明けず、潮の香もしなかったので、得るものは無かった。

次に気が付くと「私」は誰かの家の書斎に居て、誰かと話をしていた。
立派な書棚が壁一面を覆い、古そうな書物や様々な全集が並び、
中には「私」が読んでみたくなるような稀覯本もあったのだが、
結局手に取って見ることもなく、場面が過ぎていった。

夜が続いていた。「私」は何か袋のような入れ物を手にして、
何人かと一緒に山道を登っている。話しかける者もなく、無言の集団が坂道を登る。
一頻り未舗装の泥道を歩き、辿り着いたのは山小屋風の建物で、既に多くの先客があり
中では宴でも開かれているのか賑やかな人声が聞こえた。
ただ、誰一人として「顔」を見せる者はおらず、人の気配だけが場を満たしていた。
ふと横を見ると、何故か、職場の同僚が座っていた。

覚めてから書斎の持ち主は小学校時代の級友だったかも知れないと思った。


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