し
恐らく、もともとは「しゅう=衆」という言葉があって、それが縮まったのではないか、
そんな風に思えるのだが、出雲では良く使われる語彙の一つである。
(地元の人が著した解説書によると「し」そのものに意味はないそうだ)
あのし、どこから来られた人だらか、あんま見かけん人だが。
なんだい、おぞいやな人だね。おぜしかもしらんね。
おちんしの言っとられたども、あの話はどげなーか、分からせんよ。
えーしだと思っとたに、いんやだったわ。
聞いていると「し」ではなく「す」のようでもあるのだが、
出雲弁の特徴は、その何れでもなく、限りなく微妙な発音にある。
筆者が耳にしたかぎりでは、幾分「し」に近い「す」といった処か。
また、この「し」は人だけに限って付つられるものではなく、
尾籠な話しで恐縮だが、トイレを指して「おんこし」「しょんべし」とも言う。
ただ、この場合は「何々する場所」の意味なので「衆」では説明できない。
更に、逆さまの事を「さかし」と言うのだが、これは「様」の短縮形が
転訛したものと考えて良いのかも知れない。
楽しく歴史や文学に親しみましょう

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