ちょっとだけよ

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まだまだテレビが茶の間の主役だった頃、それは半世紀ほど前、
『子供たちに視聴させたくない』番組が一番の人気を得ていた。
年配の方たちは、まだ【8時だヨ全員集合】を覚えていることだろう。
1969年10月にスタートした同番組は、
1973年4月に「50パーセント」を超える視聴率を叩き出したが、
この年、ドリフターズ加藤茶人気も最高潮に達した。

生放送を原則とした舞台に、唐突も無く薄絹を纏った彼が現われ、
見世物小屋風のスポットライトが何色も当たると、
バックグラウンドには何やら途轍もなく悩まし気なBGМが流れ、
片方の足を高く持ち上げた加藤が一言二言呟く。
ちょっとだけよ』『あんたも好きねえ』

使われた楽曲はペレス・ブラード楽団風にアレンジされた「タブー」。
このラテンを得意とした楽団は、第二次世界大戦後、
最初に日本を訪れた海外アーチストで、ベンチャーズより6年も前に来ている。
加藤茶は1943年生まれだから、当時、丁度30歳だった訳だ。


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