加トちゃんと芝居

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ザ・ドリフターズの加藤茶は1943年生まれだから、かろうじて「戦前」の空気を知っている
世代の人の一人だ。東京生まれだが福島で育っているので「なまり」も巧みにこなす。
もともと管楽器の演奏家を目指していたらしい彼が、ドラムに変更した理由は知らないが、
色々な事情があったのかも知れない。桜井輝夫の「ザ・ドリフターズ」にメンバーとして
迎えられたのが19歳の時で、後にドリフを率いることになる碇矢も同じころ参加している。

昭和40年代は正しくドリフの全盛期だったと言えるが、加藤の芝居で好きなものが二つある。
その一つは「どうしても時代劇風のセリフと所作が治らない」役者という設定のコント。
故合って時代劇を止めて、テレビ番組で「役」を貰い、稽古に入るのだが、
障子を開けて登場する場面で、どうしても所作が何故か「歌舞伎風」になってしまい、
当然、セリフも時代劇の登場人物の口調になり「監督」にメガホンで殴られる。
ただ、それだけの寸劇なのだが、白塗りの顔の表情が何んとも言えず、侘しく感じられるのだ。

後の一つは、設定が歌舞伎芝居風の時代劇に「大きな鬘」をかぶって登場するもので、
恐らくネタ元は「石川五右衛門」楼門五三桐なのではと思う。
バンドマン一筋でやってきた加藤なので、芝居の世界は経験していないはず。
だが、彼の「演じる」大百日鬘を被った大盗賊には、妙なリアリティが感じられて好きだった。

元々、音楽の世界で生きて来た彼が、そんな「芝居」をこなせるのは不思議だが、
やはり天分と言うべきか。
『全員集合』は1985年9月に終了した。


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