狸と狐 1 葉っぱは必需品

山奥の一軒家で暮らす男の家の座下に「私」は棲みついているタヌキだ。男の家は二間切りで、囲炉裏のある部屋と畳のある部屋だ。もともと男の部屋に畳はなく板敷にムシロが敷いてあるだけの造りだったのだが、最後まで集落に残っていた源さんが麓の向こうの町に出て行く時、『オレの家の中にあるものは何でも使ってくれ』と言ってくれたので、畳を三枚と、大き…

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帝の悩み 3 編集された系譜

(承前 垂仁天皇の略系譜)  系図は見やすくするために作画してありますが、彦坐王の「三人の妃」と、その子供たちを並列してみると、次のようになります。   ① 山代荏名津姫----大俣王(曙立王の父親)  ② 息長水依姫-----丹波道主王----日葉酢姫(垂仁天皇の後の皇后)  ③ 沙本之大闇戸売---沙本毘売(垂仁天皇の先の皇后、…

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タヌキになった夢

「私」はタヌキだ。麓の村からは随分離れた山奥に棲んでいるいるが、そんな辺鄙な処にも人は暮らしている。かつては十ほども家が建ち、時折子供たちの嬌声が聞こえたりしたものだが、ここ数十年で、一軒減り、また一軒減りと家を棄てて出て行く者が続き、今は「私」が塒にしている男の家しか残ってはいない。確か、一番奥に在ったAとか言う家の分家だと聞いた…

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