くゎせ

出雲の独特な言葉遣いにも、その「語源」を推測しやすいものがある。   誰だいさんの「こげこげ」だと言っとられたが、ほんの事だらか?  他の誰んも、そげな事は知っとおせんだったけん、くゎせだわな。 この会話の場合には「ウソ」という意味合いで使われているが、「見た目ばかりで」中身のないもの、という意味もあるようだ。「くゎせだのぉ」と言え…

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魔法の粉薬

転校して間もなくの頃だったと思う。朝、いつもの様に簡単な食事をして、登校するのだが、歩き出して数分すると、激しい腹痛に見舞われる日が続いた。ひどい時は知り合いの家に駆けこんで「用」を足すこともあり、心配した家の者が懇意な内科医に診てもらえと言う。症状を詳しく聞いた年配の医師は、小分けした粉薬を差し出し、『朝食後すぐに飲みなさい。腹痛は、…

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中学三年生の

最後の登校日、連絡事項を確認して教室を出ようとすると、藤川がいつもの笑みを浮かべながら近づいてきた。『週末は空いているか?』と聞くので、昼間は部活で埋まっていると答えると、通学路の途中に家がある斉木が会いたがっているのだと言う。お互い殆ど見知らぬ間なのに、何を話すのか?と再び返答すると。『とにかく、あって話を聞くだけでも良いから』との事…

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